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2022/06/23

校長室から(6月)

| by 北海道札幌聾学校WEB管理者
「初夏の風物詩」
                                              
 6月11日は”入梅”でした。暦の上ではこの日から梅雨入りであり、春から夏への季節の変わり目となります。入梅の前後、北海道以外の地域では梅雨に入り、本格的な雨の季節を迎えます。
 北海道には気象学上、梅雨はないのですが、5月下旬から6月上旬にかけて一時的な低温になることがあり、リラ(ライラック)の花が咲く時期であることから”リラ冷え”とも言われています。また、ぐずついた肌寒い天気が、本州の梅雨と同じ時期に続くことがあり、”蝦夷梅雨”とも呼ばれています。
 本州では、梅雨が明けると本格的な夏の訪れとなりますが、北海道は暑さは感じるものの湿度の低いカラッとした夏を迎えます。しかし、昨年のように猛暑になったり、高温多湿の日が続いたりするなど、北海道の気候も本州に近づいているように感じます。数年後には北海道でも「梅雨入り宣言」が聞かれるのかもしれません。
 高温多湿な環境は、ジメジメ、ベタベタして、人にとっては何とも過ごしにくいのですが、ある種の植物の成長にはなくてはならないものです。熱帯原産の稲などは、梅雨時の高温多雨で背丈を伸ばし、梅雨明けの強い日差しを受けて良質な稲穂を実らせます。冷涼な北海道でも稲作を可能とした先人の苦労と努力には、頭が下がります。今年は本校でも稲作に挑戦しています。体育館横の学級園に水田を作り、そこで中学部重複学級の生徒が稲を育てています。今年の札幌は、初夏とは言え冷たい風が吹く不順な天候ですが、生徒の世話によって大きく育ち、秋に収穫できることを願っています。
  
 5月下旬から6月にかけて、朝6時頃になるとあちこちから花火の音が聞こえてきます。言わずもがな、運動会開催の合図ですが、条件反射でしょうか、この音が聞こえると心躍るような気分になります。この2年間は新型コロナの感染拡大に伴い、土日に運動会が開催されることなく、寂しく思っていたのですが、今年は久しぶりに花火の音を聞くことができました。日曜の昼すぎ、小学校の側を通った際、晴れやかな顔をした小学生が帰路についているのを見かけました。以前の初夏の風景がやっと戻ってきたことに安堵しました。
 本校の運動会は、3日に小学部、10日に幼稚部と、今年度も学部ごとに平日開催としました。各部ともに徒競走や遊戯、運命走などに取り組み、子どもたちは普段の学習や遊びの成果を発揮し、仲間とともに思い切り体を動かすことを楽しんでいました。その様子は、本校ホームページの「学習の様子のページ」にも掲載していますのでご覧ください。
 さて、聾学校の運動会では当たり前のことに、”見える合図”があります。徒競走ではスタートピストルとともに旗を振って合図をしますし、遊戯では子どもたちの前後で教員が手拍子を打って曲のリズムを知らせたり、指を使って拍数を知らせたりします。そのような工夫によって、子どもたちは”聞こえにくい”という状況を乗り越え、様々な活動に参加することが可能となります。
 今週末からは中体連体育大会が始まります。運動部に所属する中学生にとっては、最も気合いが入る大会です。本校からは、バドミントン部と陸上部の生徒が出場します。バドミントンではシャトルが風を切る音もプレーに影響を与えます。陸上でも、走る際の風切り音や周囲の音も体をコントロールする上で大切な情報となります。そのような状況をも乗り越えて、生徒にはベストを尽くしてほしいと思います。特に中3の生徒は、今大会が中学生最後の大会となるため、普段からの鍛錬の成果を遺憾なく発揮して、悔いの残らない大会としてほしいと思います。来週の月曜日、選手の皆さんの清々しい報告を期待しています。健闘を祈ります!


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