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2022/08/19

校長室から(8月)

| by 北海道札幌聾学校WEB管理者

「あなたはアリ?キリギリス?」

 

 長かった夏休みも終わり、2学期が始まりました。今年度は幼稚部と小学部が16日、中学部が19日に始業式を行いました。子どもたちの元気な声が廊下やホールに響き、真剣に学びに向かう生徒の姿に触れて、学校が眠りから覚めたことの喜びを感じます。

 さて、本校は従来、全学部が同じ日に始業式を行っていました。コロナ禍で緊急事態宣言が出ていたときには、分散開催することもあったので、「本校はまだコロナ対応で慎重なんだな・・・」と心配される向きもあると思いますが、今年は他に意図があってこのようにしました。

 道立特別支援学校の夏休み(正式には夏季休業日と言います)と冬休み(冬季休業日)は、道の規則でそれぞれ25日以内と定められていてます。夏・冬休みの総日数は50日以内となります。今年度、本校は、夏休みは幼・小学部が24日、中学部が27日です。冬休みは幼・小学部が24日、中学部が20日です。「ああ!中学部は夏休みが長い代わりに冬休みが短いんだ!」と御理解いただけたかと思いますが、ここで「夏・冬休みともに、25日以内と定められているのに、中学部の夏休みは27日もある。冬休みを足しても47日にしかならない?幼・小学部は夏・冬休みを足しても48日にしかならない・・・」と疑問に思われるのではないでしょうか。

 25日を前後することについては、総日数の範囲内で日数を変更して構わないという規定があります。また本校の場合、寄宿舎を設置しており、遠方から通学している子どもの利便性も考えて、5月の連休の中日を夏・冬休みからそれぞれ1日ずつ埋めています。ですから幼・小学部はトータルで50日となります(規定内のためOK!)。中学部はトータルでも49日にしかならないのですが、総日数が50日以内なのでこのようにしています。

 中学部の始業式が遅い(夏休みが長い)ことについて、始業式で生徒に尋ねてみました。


 幼稚部と小学部は16日から2学期が始まっていますが、中学部は今日から2学期です。どうして始まるのが遅いのでしょうか?次の3つから選んでください。
 ①重役出勤という言葉があるように、中学生は年長者だから遅く始まる。
 ②中学生はいつも頑張っているから、少し長く休んで疲れを取るため。
 ③高校受検に備えて、3学期の授業日を多くするため。

 答えを発表した際、生徒は釈然としない様子でしたが、これも現実です。

 少し簡単な質問だったと思いますが、生徒には与えられた物事や情報を鵜呑みにするのではなく、一旦頭にとどめて、疑問を持つ習慣を身に付けてほしいと思い、このような質問をしました。疑問こそが学びの原点だからです。

 そしてもう1つ。

 イソップ寓話のひとつ、「アリとキリギリス」は皆さんご存じと思います。夏の間、冬に備えて懸命に食料を蓄えているアリと、歌い遊んでいるキリギリスとの対比が描かれていて、楽をしているなまけ者は、そのうち痛い目にあうという教訓を表しています。

 中学生の生活に当てはめると、夏(1、2年生)の間、まだ先のことと考えてのんびり過ごしていると、冬(中3)になって受検が迫ってから大変な思いをする、ということです。まして、夏のみならず冬ものんびり過ごしていると・・・もはやなすすべもないということになってしまいます。

 限りある時間を有効に使うことは大人でも難しいことです。ゆとりあると思っていた時間が、刹那のごとく過ぎていくことは誰しも経験し、そして痛い目にも遭っていると思います。減りつつある時間に具体性をもたせるために、時間を見える化(カウントダウンタイマーやタイムタイマーはその1つ)するのも良いかもしれません。



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