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2022/09/16

校長室から(9月)

| by 北海道札幌聾学校WEB管理者
「仲間の存在」
  
 2学期が始まってから約一月が経ちました。気がつけば20日は彼岸の入りです。日を追うごとに日が短くなり、朝の空気も冷たさが増してきたように感じます。大人は寒さに耐えきれずに長袖にしましたが、子どもたちはまだ半袖で元気に過ごしています。
先週の木曜日には、北海道聾学校体育大会がオンラインで開催され、本校の小学部5年生以上の児童生徒が参加しました。この大会は、今回で36回目を数える歴史あるもので、全道の聾学校の小学5年生から中学3年生までが参加して行います。札幌聾、室蘭聾、旭川聾、帯広聾が輪番で会場校となり、全道の子どもたちが集まって2日間に渡って交流や体育大会を行っており、過去には同じ宿舎に宿泊した子どもたちが、夜間に交流を行ったこともありました。
 子どもたちは1年に1度、各校で頑張っている仲間と出会い、競い、親交を深め、そしていつか高等聾学校で再開することを誓って普段の生活に戻っていきます。仲間がいることを知り、その友がライバルだと意識することは、生活に張りを生み、アイデンティティの確立にも有意義なことです。
 時代は変わり、各校共に子どもの数が減り、また子どもたちの障がいの状態も変わってきたため、陸上種目だけでなくレクレーション的な種目が加わりました。コロナ禍になってからは、参集開催は見送られ、陸上種目は各校の体育の授業で行い、オンラインで交歓会と表彰式のみ開催するスタイルに変わりました。
 種目や開催方法の変遷はあれど、今大会でも、一堂に会して開催していた頃と変わりなく、屈託のない笑顔で仲間と交流する子どもたちの姿が見られ、子どもたちに達成感や満足感、有用感などが育まれていることを感じました。苦労して準備してきた先生方も安堵したことと思います。
 実は体育大会の開催に関して、子どもたちの状態の変化に伴い体育大会を行うことの意義や、学習指導要領の改訂に伴う教育活動の見直し、職員の働き方改革、コロナ禍における大会の在り方など、主に大人の事情で大会開催の是非について検討してきました。結果的に、子どもたちの教育的意義を第一に考えて、当面は継続することになりました。様々な事情があるにせよ、教育の本質である「子どもを主体に据えた教育活動」を見失ってはならないことを、キラキラした笑顔を見せてくれた子どもたちから教えられた今年の大会となりました。
 


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