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2023/02/24

校長室から(2月)

| by 北海道札幌聾学校WEB管理者
「あなたはどっち?」
  
 私の1日は早朝5時から始まります。朝食の準備をして、1人食べながら、撮りためたドラマを見つつ、テレビの2画面機能で朝の情報番組をチェックします(一見マルチな感じがしますが、二兎を追うものは一兎をも得ずです)。
 STVの「どさんこワイド朝」という情報番組がありますが、その5時台の後半に「ナニ派?リサーチ」というコーナーがあります。あるテーマに関して2つもしくは3つの選択肢を示して、「あなたはどっち?」の掛け声で視聴者に選択してもらう企画です。今時なのは、視聴者がスマホのアプリを使って参加し、投票数はリアルタイムで表示され、最後に投票結果を紹介するといった視聴者参加型になっていることです。
 テーマは「好きな乳製品は? A:チーズ B:ヨーグルト C:アイスクリーム」や「家にぬか床は? A:ある B:ない」といった、個人の嗜好や物の有り無しを問うものから、「LINEで欠勤の連絡は? A:あり B:なし」や「あなたはマスクを? Aする B:しない」といった、気になる話題を問うものまで、とてもバラエティーに富んでいます。いくつかの選択肢から一つを選ぶという、誰でも答えやすい質問形式で、テーマも身近なものが多く、年齢性別を問わず参加できる企画だと思います。
 何かを選択する際に迷うことは誰しもあると思います。私は人一倍迷う方だと自認していて、先日も白物家電を買った時には、家電店を数軒はしごし、ネットの比較サイトを見て、それを数回繰り返してしまいました(もちろん家族には大不評です)。実際に見て触って店員さんに話を聞いてと、リアルな情報も大切ですが、他人のレビューや評価といったネットの情報は、多くの意見を一度に聞くことができるため重宝します(かえって迷う一因のようにも思いますが、、、)「ナニ派?リサーチ」は、他人の評価を判断の参考にしたいといった人たちのニーズにマッチした、なかなかツボを突いた企画だと言えます。
 ところで質問には、大きく2つの聞き方があることをご存じでしょうか。相手が「はい、いいえ」の二者択一や「A or B or C」の三者択一などで答えられるような、回答範囲を限定した質問の仕方をクローズド・クエスチョンと言います。これは相手の考えや事実を明確にしたい場面などで有効です。一方で、「朝ご飯は何を食べましたか?」や「これについてどう思いますか?」などのように、相手が答える範囲に制約を設けず、自由に答えてもらうような質問の仕方をオープン・クエスチョンと言います。これは相手からより多くの情報を引き出したい場面で有効です。
 学習場面でも、この2つの聞き方を使い分けています。たとえば4年生の国語の教材「ごんぎつね」の学習で、「ごんは兵十の家に行きましたか?」の問いには「はい」と答えるでしょうし、「兵十は土間にあった栗やきのこを見てどう思いましたか?」の問いには「誰が置いていったのかな?」「へんだな?」などと答えると思います。子どもが答えやすいからといって、クローズド・クエスチョンを多用してしまうと、かえって子どもを追い込んだり、考える力が身につかなかったりしてしまう可能性があります。要は、子どもに何に気づいてほしいか、何を考えてほしいかなど、目的に応じて使い分けるということが大事ということです。さあ、「あなたはどっち?」
 

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