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2023/11/13

校長室から(11月)

| by 北海道札幌聾学校WEB管理者
「魔改造の夜」
 今、「魔改造の夜」にはまっています。
  何やら怪しげな雰囲気ですが、○HKのゴールデン枠で月1回ペースで放送されているテレビ番組で、我が国の名だたる大学や有名企業の技術者が、おもちゃや日用品を”ある”テーマに沿って極限のアイデアと技術で怪物マシンに大改造し、夜会で対戦するという内容です。
  魔改造の素材は、その辺にあるおもちゃや日用品。テーマは「洗濯物干し25mロープ走」や「ネコちゃん落下25m走」といった奇想天外なもの。予算はたったの5万円(!)。参加するのは我が国の最高学府の頂点に立つ「T大」や、世界のモビリティ企業「H技研」といった有名大学や一流企業(企業名は一応、伏せ字になっていますが、誰もが知る有名企業ばかり)の技術者たち、、、一見するとはちゃめちゃで、しかしとても面白い企画です。
  先に紹介したように、毎回ナンセンスなテーマが与えられるのですが、参加する技術者はいつも真剣に向き合う姿を見せてくれます。企業内にチームを立ち上げ、ミッションを共有し、大の大人がおもちゃを前にして真剣に議論し、時には意見の対立があり、思うように進まない苛立ちを感じつつも、チームの英知を結集して怪物マシンを作り上げていく過程に、心が引きつけられます。技術者がそこまで真剣になれるのは、日常の業務に役立たないようなミッションであっても、それに取り組むことで、自分たちが得られるものがあることを分かっているからでしょう。
  夜会では、参加者の鼓動が聞こえる程の緊張感の中、失敗したときは関係者の落胆とともに他の参加者からもため息が漏れ、成功したときは関係者のみならず会場中が一体となり歓喜の渦に包まれます。それは画面を通して見ている者にも伝わり、感動を通り越して清々しさをも感じさせます。勝者敗者は決まりますが、真の意味で全員が勝者と言える姿に、本当に涙が出そうになりました。
  番組コンセプトは、「日本の一流エンジニアたちが日用品や家電をお題に合わせて改造して対決する“技術開発エンタメ番組”」とのことですが、私はものづくりの面白さや可能性に目を向け、ものづくりにチャレンジする人たちの姿を通して、日本のものづくり文化を広く発信することのように思います。バカバカしいとも思えるミッションに、一流の技術者が、大学や企業の威信をかけて、情熱、プライド、意地、執念をさらけ出してガチンコで勝負する。趣味や同好の域を超え、この挑戦に投じた時間や、得られたノウハウは、間違いなく次の製品開発や技術革新につながり、成果や結果を出すための組織やそれを支える人づくりに生かされることでしょう。
  大人が本気を出せば、為せないことはない!さあ、私たちも大人の本気を見せてやりましょう。

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